事前調査、現況調査|税務調査の注意点

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事前調査、現況調査

問9
質問検査権の行使はいつでもできるか(いわゆる事前調査について)、また現況調査についてはどうか。


確定申告書提出期限後でないとできない。また調査時の現金実査や進行年度の帳簿等の検査もできないと解すべきである。
所得税法234条1項においてその調査対象者を「納税義務がある者、納税義務があると認められる者」と規定している。
ついで、国税通則法16条1項において、納付すべき税額の確定するのは申告納税方式の場合は納税者のする申告により確定すると規定しており、したがって所得税、法人税は申告納税方式であり確定申告書を提出して、はじめて納付すべき税額が確定することとなる。この時点で納税義務がある者となる。
「納税義務があると認められる者」とは申告書を提出しなければならない者のうち提出していない者で納税義務があると認められる者と理解するのが妥当である。
所得税、法人税、相続税等は申告納税制度をとっており、納税者の自主的な申告を尊重するという制度の趣旨からも、申告書の提出をまち、その申告の内容に疑義があるものについて、質問検査権の行使をするというのが民主国家における行政当局と主権者たる国民との間の当然のルールである。

参考

確定申告書提出期限後でないと調査はできないとする判例

東京高等裁判所(控訴審)昭和43年5月24日昭和41年(う)第1086号

また、所得税法は申告納税制度を採用していて、納付すべき税額は納税者のする申告によって確定するのを原則とするのであるが、その申告のない場合、又はその申告にかかる税額の計算が所得税法に従っていない場合その他当該税額が税務署長の調査したところと異っている場合には、決定或いは更正による確定処分を必要とするものであり、「所得税の調査」とはまさに右の場合の調査をいうものと解せられ、従って、旧所得税法第45条の場合の調査を含むものであり、「調査に関し必要あるとき」というのも、右の申告のない場合、又は申告が適正でない合理的な疑いのある場合をいい、もとより当該収税官吏の恣意による調査が許される訳のものではなく、そこに客観的な基準の存することは当然であって、従って、また、「質問」の事項の範囲、「検査」の対象物件の範囲も自ら限定されるのであり、更に、「納税義務者」とは、右の調査目的、及び旧所得税法第63条第1号が「納税義務者」のほか、納税義務があると認められる者又は損失申告書を提出した者を掲げていることに鑑みると、確定申告書を提出して納税義務のあることを申告した者を指すものと解せられ、かかる者について所得の申告洩れ等があってこれを調査する必要のある場合があることは多言を要しないところである。

東京地方裁判所(第一審)昭和44年6月25日昭和41年(特わ)第718号

ここに、「納税義務がある者」、「納税義務があると認められる者」というのは、たしかに明確な表現ではないが、質問検査権に関する立法の沿革および所得税が申告納税方式によるものであることを考慮すると、「納税義務がある者」というのは、確定申告書を提出することにより所得税の納付義務が確定している者(その税額の全部または一部をすでに納付しているかどうかを問わない)を意味し、「納税義務があると認められる者」とは、確定申告書を提出していないけれども、客観的、実質的に納税義務が成立しているものと合理的に推認され、確定申告書を提出すべきであったと認められる者を意味するものと解すべきである。

(新井隆−)

納税義務があるか否かは、調査(質問検査)をしてみなければ明らかにはならないのであるから、ここで「納税義務があると認められる」といっているのは、その調査の相手について、これに対する質問検査権の行使以外の当該税務行政機関で収集した資料によるいわゆる部内調査、事業団体に対する諮問(所得税法235条)などによる探知をもって、個別的・具体的に納税義務があることが「当該職員」によって確信されている場合を指すものと理解されなければならない。
実際には、この場合、具体的に納税義務が確定していない者、いわば現に納税義務がない者に対して質問検査権が行使されるのであるから、これを円滑にするためにも、「当該職員」によるこの確信の内容が、その質問検査に際して、事前に、相手に、その理解しうる程度で説明される必要がある、というべきものであろう。
この説明がされないで行われた質問検査権の行使は、その質問検査を受ける者がこれを受ける理由または原因を知ることなく質問検査をされ、この不知ゆえに質問検査を拒否しまたは虚偽の答弁をしたとしても処罰の対象とされる、ということにもならないではないのであるから、その者の基本的人権−幸福追求権(憲法13条)、表現の自由(同法21条)、財産権(同法29条)、などを侵すものとして、また、行政上の正当手続保障の原則にも反するものとして、違法というべきである。

(「租税法の基礎理論」P131〜133日本評論社)
事前調査の可能性を示唆した判例

最高裁判所第3小法廷(上告審)昭和48年7月10日昭和45年(あ)第2339号

所得税の終局的な賦課徴収にいたる過程においては、原判示の更正、決定の場合のみではなく、ほかにも予定納税額減額申請(所得税法113条1項)または青色申告承認申請(同法145条)の承認、却下の場合、純損失の繰戻による還付(同法142条2項)の場合、延納申請の許否(同法133条2項)の場合、繰上保全差押(国税通則法38条3項)の場合等、税務署その他の税務官署による一定の処分のなされるべきことが法令上規定され、そのための事実認定と判断が要求される事項があり、これらの事項については、その認定判断に必要な範囲内で職権による調査が行なわれることは法の当然に許容するところと解すべきものであるところ、(中略)暦年終了前または確定申告期間経過前といえども質問検査が法律上許されないものではなく、(中略)「納税義務がある者」とは、以上の趣意を承けるべく、既に法定の課税要件が充たされて客観的に所得税の納税義務が成立し、いまだ最終的に適正な税額の納付を終了していない者のほか、当該課税年が開始して課税の基礎となるべき収入の発生があり、これによって将来終局的に納税義務を負担するにいたるべき者をもいい、「納税義務があると認められる者」とは、前記の権限ある税務職員の判断によって、右の意味での納税義務がある者に該当すると合理的に推認される者をいうと解すべきものである。

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