MS法人を利用した医療機関の節税対策の問題点|事例 業種別 税金対策の余地

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MS法人を利用した医療機関の節税対策の問題点

メディカルサービス法人(以下MS法人といいます)とは、主として医療機関の節税対策のために、医療材料の仕入や、医療サービスの提供、医療施設の賃貸等を目的として設立された法人を言います。
多くの医療系のコンサルティング会社または会計事務所がMS法人を利用しての節税を進めています。

1.MS法人を利用した節税対策とは

法人を利用することでどのように節税になるのか、代表的なポイントを見ていきます。

節税ポイント1:中小企業の軽減税率の適用
普通法人の年間所得800万円までの金額については軽減税率(実効税率24.8%)が適用されます。この軽減税率適用分については一般的に医療機関(医療法人、医療個人)の適用税率より低くなります。
  • 医療法人
    通常税率(社会保険診療に対して事業税はかかりません):約35%
  • 医療個人
    通常税率:年1,800万円超の所得については最高税率50%
※法人、個人共に利益が増えると税率が高くなりますので、利益を複数の会社に分散することで、軽減税率が適用される所得が増え、結果的に全体の納税額が減少するという効果が得られます。
節税ポイント2:理事長家族の役員報酬
家族従業員を、MS法人の役員とすることで、相応の役員報酬を支払うことができます。
(参考)給与収入と実効税率の関係(平成24年の所得にて計算)
給与収入年間1,200万円:実効税率約20%(注意)
給与収入年間1,500万円:実効税率約25%(注意)
(注意)給与収入が増減した場合、税金は40.85%(給与所得控除5%を差引いた残額に対して所得税、住民税の合計税率43%)増減します(100万円の給与収入増加で税金は40.85万円増加、反対に給与収入が100万円減少すると税金は40.85万円減少します)。
節税ポイント3:交際費の利用枠の増加
以下の交際費の損金算入枠があります。
(資本金1億円超の法人:交際費は損金に認められません)
資本金1億円以下の法人:
年間600万円までの交際費の支出額についてはその90%
年間600万円超の交際費の支出額については損金に認められません。
MS法人を利用することで、資本金1億円以下の法人の年間600万円までの交際費の損金算入枠(90%)を利用することができます。

2.MS法人を利用した節税対策の問題点

MS法人を利用した節税対策の運用事例の多くは、以下のような損益計算書となっています。

MS法人 損益計算書(例)

科目 金額 説明
T売上 ××× ←売上年間5,000万円超
U仕入
  粗利
×××
×××
 
←結果として、医療法人の利益が一部移転
V販売費及び一般管理費
  人件費
  保険料

×××
×××

←家族従業員の給与を含め相応の費用計上
←節税を主目的として生命保険に加入


   
  当期純利益(最終利益)
××× ←ほとんど利益がないか、赤字

このような損益計算書のMS法人を運営されている場合には、以下の損失が発生しています。

(1)医療法人の消費税減少額

医療法人の消費税減少額の計算

※MS法人にて計上される人件費(給与)や保険料(保守費用)は、医療法人にて「外注費」等として計上され、消費税の取り扱いとして「控除対象消費税額」となり、その分消費税の納税額は減少しますが、減少する消費税額は、実際に支払った消費税×課税売上割合という計算を行わなければなりません。
結果、課税売上割合が少ない場合、減少する消費税額は小さくなります。

(2)MS法人の消費税納税額

MS法人の消費税納税額の計算

※一方、MS法人では、人件費(給与)や保険料(保守費用)相当額を「売上」等として消費税の課税売上となり、消費税を医療法人から受け取っています。
一方で人件費(給与)や保険料(保守費用)は消費税を支払わない経費ですので、受け取った消費税額を全額納付しなければなりません。

損失額=(2)‐(1)です。

MS法人は受け取った消費税を全額納付
医療法人は支払った消費税のうち、課税売上割合を乗じた部分だけ税額が減少
となるので、差額の金額は消費税を本来よりも多く支払っていることになります。
この差額部分が損失額となります。

3.MS法人を利用して節税対策した場合の問題の事例

医療機関の課税売上割合:10%
MS法人の人件費 → 4,000万円/年
MS法人の保険料 → 2,000万円/年

(1)医療法人の消費税減少額

医療法人の消費税減少額の計算例

=(4,000万円+2,000万円)×10%×5%=30万円

(2)MS法人の消費税納税額

MS法人の消費税納税額の計算例

=(4,000万円+2,000万円)×5%=300万円

損失額=300万円-30万円=270万円/年

毎年270万円の消費税を損しています。
税率が8%となると432万円/年、10%になると540万円/年・・・と、損失が拡大します。

4.結論

MS法人を利用して節税対策をしている多くの医療機関は消費税で大きな損をしています。この損は今後の消費税率UPで拡大します。
医療機関が直面する消費税納税のメカニズム」にてご紹介したとおり、医療機関(医療法人、開業医、MS法人)の多くは消費税で損をしています。

経営状況等によって解決策が異なることがあるため、こちらでは概略のみ紹介しております。
現状を確認されたい経営者様、対策を検討されている経営者様は、お気軽に お問い合わせ ください。

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