第9話 武田信玄に学ぶ|コラム 先人に学ぶ

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第9話 武田信玄に学ぶ

1.武田信玄の生い立ち

武田信玄は、大永元年(1521)年、甲斐(現在の山梨県)の守護、武田信虎の長子として生まれました。元服後は晴信と名乗りましたが、晩年出家をして信玄と改名したことから武田信玄という名前が広く浸透しています。
信玄が武田家を継いだのは天文10年(1541年:20歳)と信玄は非常に若い時でした。父信虎の悪政により家臣や領民の心が信虎から離れたことがこの追放の原因とされています。

2.緻密な計算を行う頭脳の持ち主

(1)法律の制定

天文16年(1547年:26歳)になると「信玄家法」と呼ばれる分国法を制定した。これは、大名が自分の領地を治める法律である。実施した時は55カ条だったが、天文23年(1554年:33歳)に2カ条追加して57カ条になった。このように、信玄は内政に力を注ぐ武将であり、領民に慕われる武将であり続けました。

(2)相手の気持ちを考えた戦い方

天文16年(1547年:26歳)、北佐久の志賀城を包囲攻撃したとき、援軍として関東管領上杉憲政が兵三万を率いて浅間山麓に布陣しました。対する武田は兵一万です。信玄は五千の精鋭を選りすぐり、板垣信方、飯富兵部、原美濃などにつけて出撃させました。これらの戦上手の武将達は敵を大いに破り三千人ばかり討ち取りました。信玄はそこで討ち取った首を持ち帰らせ、志賀城外に並べ、城側の士気を滅入らせました。志賀城はこの生首作戦と水の手を切ったことによって落城しました。このように信玄は相手の気持ちを考えた戦いを常に行いました。

3.敵に対しては容赦をしない一面

信玄は、敵に対して苛烈すぎる局面がありました。信濃地方は、上杉、村上、小笠原等の勢力の狭間であり、真田家などの小豪族の乱立地域でした。このような小豪族は家を守るために強い豪族に従っていくのがこの時代の処世術でしたが、信玄はこれを認めませんでした。謀反を起こした場合には、全員を殺すか、捕虜として捉えた場合には、男子は金山において労役に就かせ、女は金山の遊女として売り飛ばすという厳しい処置を行いました。これが必要以上に反感を買い、信濃地方の平定を遅らせて行きました。

4.目標を達成しなかった信玄

武田信玄の生涯を振り返る時、失敗をした武将であると言う人は少ないと思いますが、武田信玄が目標を達成した人物ですか?と尋ねると達成していないと全員が答えます。信玄は最後に天下統一を夢見、京都に上る途中についに夢叶うことなく死亡しました。  では、この目標を達成しなかった原因はなんでしょうか?書物では、上杉謙信の存在、京都が遠かったことなどを挙げるものが多いのですが、果たしてそうでしょうか?

(武田信玄のモラル)

  • 戦は何のためにするか→領土を拡大するため→戦った部下に配分するため
    (背景)
    戦いの戦力は、戦があると武器を持って集まってくる農民
  • 皆に公平な処置を行うためにはどうしたら良いか→投降は許すが、謀反は許さず。
    (背景)
    息子に対しても例外なく適用し、息子は死にました。この2つが、立派な武将として信玄の名を現代まで轟かしている一方、天下を取るための障害になった本質であると考えます。

5.信玄の失敗の本質

信玄に対比して信長のモラルを取り上げてみます。

(織田信長のモラル)

  • 戦の主力は農民⇒戦の主力は戦争プロ集団
    織田信長は、農業に従事するために国許へ帰らなければならない無駄を排するため、兵農分離を実行しました。兵士は全員、プロの兵士です。結果、1年中転戦していても大丈夫な兵士集団が生まれ、織田軍団の天下平定が早まりました。
  • 皆に公平な処置を行う⇒目的の為には一時我慢をする。
    織田信長は、23歳の時、弟信行の謀反を防ぎましたが、これに参加をした林・柴田の重臣を許しました。公平な処置を行うには、林・柴田を追放する必要がありましたが、より大きな目的達成の為に寛大な処置を取りました。結果、柴田勝家は織田家の柱石として織田信長の天下平定の為に尽力します。天下の大勢が決まった1580年(武田信玄は1573年死亡)、林秀貞を追放しますが、その理由は信長23歳の時の謀反によるものでした。

何を目的とするか、そのためには何をしなければならないか?人はよく見失います。この見失った結果が、天才信玄をして信長の後塵を拝した本質なのではないかと考えています。目的・内容を明確にして、最終的には目的を達成したいものです。

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